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空海の風景 [司馬遼太郎]

空海の風景〈上巻〉

空海の風景〈上巻〉

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本


空海の風景〈下巻〉

空海の風景〈下巻〉

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本


若い頃に途中で挫折した空海の風景をやっと読んだ。

空海は、弘法大師として広く親しまれているが、意外にどういう人物か分かっていない。この本は、空海の実像に迫ろうとするものだが、何しろ1000年近く前の人物であり、著者の想像力で補う部分が多い。それをさらに知識・理解力の乏しい私が読んでいるのだから、実像からかなり遠くなってしまう。

この本は、空海とは何かと同時に、密教とは何かを探っている。
仏教のことはよく分からないので、完全に理解したとは言えないが、空海と密教のエッセンスみたいなものは何となくつかんだような気がする。
空海は、讃岐の豪族の子弟でありながら、何故官吏の道を選ばず、僧侶の道を選んだのか?何故儒教を選ばず、仏教しかも密教を選んだのか?また、わざわざ唐まで出かけて行ったか?
以下はあくまで私の想像である。

空海は、当時天才であった。彼は精力的な人間で有り余るエネルギーを持っていた。
彼が追求したのは真理である。彼にとっては俗世の処世術はどうでもよかったのだ。
宇宙の成立ちも含めた真理を追究したかったのだ。密教というのは、加持祈祷というイメージが強いが、空海は当時中国での流行の教義に真理を見出し、より追及するために唐まで出かけていったのではなかろうか。
空海が現代に生きていたなら、きっと科学者になっただろう。当時仏教は哲学であり、科学であったのではないか。
勝手な想像であり、司馬遼太郎の書こうとしたこととも違うのかもしれない。

この本の後半で、最澄と空海を対比させている。
最澄は学究肌の人物に対して、空海はより政治家に近い灰汁の強い人であったような気がする。
空海はより完成度の高い教義を残したため、後継者に恵まれなかった。
最澄は、その教義は不完全であったが、多くの優秀な後継者を輩出した。
この対比が興味深い。

今空海ゆかりの寺を訪れようとしている。
高野山は何度か行ったし、最近東寺にも行った。
その他空海と関わりのあるいろいろなお寺に参った。
今度京都の神護寺に行こうと思っている。
空海の足跡を辿ることにより、少しでも空海と密教が理解できたらと思うが、おそらく無理だろう。




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コメント 20

おはようございます^^
 空海については全く知らないです、ごめんなさい。コメントする資格なしですね。でも、記事自体は面白いしマイケルさんの視点もとても面白いです。読んでみようとは、なかなか思いつきませんが(--;)
by (2006-09-15 04:48) 

mido22

空海とはしぶいですね、私も読んでみたいけどちょっとその分厚さに白旗です。ぜひ感想&簡単に空海のことを教えてくださいね
by mido22 (2006-09-15 05:21) 

マイケル

mimimomoさん
空海は弘法大師として親しまれているので、身近なところから入ってもいいのではないでしょうか?
by マイケル (2006-09-15 06:36) 

マイケル

mido22さん
あくまで小説ですので気楽に読めます。
by マイケル (2006-09-15 06:37) 

kaoru

おはようございます。空海は、知っているようで
知らない事が多いのでこれは、読んでみたいと思います。
by kaoru (2006-09-15 10:17) 

空海は、とても興味深い人物ですね。
密教=加持祈祷というのは、誤ったイメージで、空海は当時の最新のテクノロージーを持ち帰っています。空海と関わりの深い土地からは水銀がでるというのも面白い事実です。
by (2006-09-15 13:20) 

Baldhead1010

空海という名前より、御大師様というのが親しみがあって、浸透しているようですね。
by Baldhead1010 (2006-09-15 13:23) 

タイトルからは難しそうだけど、司馬遼太郎さんが書かれてるから意外に読みやすいのかな?
by (2006-09-15 16:06) 

maron02

秋の夜長にいいかもしれません^^
by maron02 (2006-09-15 17:50) 

INOUE

空海と東寺と密教、何となく知っているのですが、色々勉強させて
いただきます。私は神護寺には、時々行きますが、いつも紅葉の写真を
撮るばかりです。
by INOUE (2006-09-15 21:39) 

Ezカンパニー101

入唐前の空海が修行をした、と言伝わる洞窟に行ったことがありますよ。
高知の室戸のあたりです。 中に入ってみましたが、あまり気持ちのいいものではなかったですね。走って逃げ出してしまいました。
近くには、中岡慎太郎の石像もありました。
高知って、たぎる様なエネルギーがある所なのでしょうか?
by Ezカンパニー101 (2006-09-15 21:59) 

マイケル

kaoruさん
知らないことを知るということは、成長することです。
何でも興味を持つことが大切だと思います。
by マイケル (2006-09-15 23:12) 

マイケル

lapisさん
そうだと思います。
by マイケル (2006-09-15 23:12) 

マイケル

Baldhead1010さん
大師と言えば、空海。
太子と言えば、聖徳太子。
大使と言えば、マグマ大使ですね。
by マイケル (2006-09-15 23:14) 

マイケル

ななせさん
比較的読みやすいと思います。
by マイケル (2006-09-15 23:15) 

マイケル

まろんさん
不眠症の方にはいいかもしれません。
by マイケル (2006-09-15 23:17) 

マイケル

INOUEさん
神護寺の紅葉見て見たいです。
by マイケル (2006-09-15 23:19) 

マイケル

Ezカンパニー101 さん
空海にちなんだ場所沢山あるんですね。
その洞窟も行って見たいです。
by マイケル (2006-09-15 23:20) 

kakora

以前から 空海には興味を持っていて いつか読んでみたいと思っていました
でも全く仏教のこと 密教のこと 空海のこともわからないので
理解できるかなぁという思いはありますが 是非読んでみたいと思います
そして関わりのあるところを訪ねられたら...と思います
by kakora (2006-09-30 08:48) 

マイケル

kakoraさん
仏教は奥が深くて難しいですね。
by マイケル (2006-09-30 19:44) 

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