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吉村昭・遺作「死顔」 [吉村昭]

雑誌「新潮」の10月号に吉村昭さんの遺作「死顔」が掲載されている。病床で書いたのかと思うと感慨深い。
次のような内容だ。危篤の次兄を見舞いに行き、2日後に次兄の死を知らされる。通夜、葬儀と出席する中で、すでに亡くなった家族の死、やがて自分の死へと想いが至る。
自分の死を予感した内容となっている。

その中で、自分の遺言とも言えるべき内容のものがある。
1つは、延命治療はしてくれるなということ。
幕末の蘭方医佐藤泰然の最期を引合いに出している。
佐藤泰然は、自ら死期が近いのを知って、高額な医薬品の服用を拒み、食物も断って死を迎えた。いたずらに命ながらえて周囲の者ひいては社会に負担をかけぬように配慮したのだ。
もう1つ、死顔を他人に見せてくれるなということ。醜い姿を他人の目に晒されたくないのだ。自らも次兄の死顔を見ようとしなかった。

そして、実際に夫人の津村節子さんにそのような遺言をされたようだ。


同時期に発売された「文藝春秋」10月号に、津村節子さんのお別れ会挨拶・吉村昭氏の最期が載っている。以前紹介した新聞記事の内容の通りだが、吉村昭さんの延命治療を拒否した死に方に清々しさを感じる。

ご冥福を祈りたい。


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nicolas

そういえば、自分の死に方や人生の終わり方って
まだ、あんまり詳しく考えたコト無かったですが、いつクルかワカラナイモノ。
私も死に顔、あんまり見せたくないかもしれません。
by nicolas (2006-09-10 22:06) 

尊厳死、安楽死、そして臓器移植は、自己の意思で生命を絶つ
ある面で、自殺に似ています。だから、関与する医師は自殺関与罪ないし
殺人罪の構成要件に該当しますが、違法性は阻却されると考えられています。しかし、最後に決断する医師のモラルを再考する必要があると思います。
by (2006-09-10 22:10) 

マイケルさんのBLOG,アクセス数が多そうですね。

ぼくもアフィリエイト始めたばかりですけれど、クリックする広告を中心に集めましたが、
BLOGのアクセス1件0.01円のアフィリエイトがあるんです。
これはお小遣い稼ぎにいいと思いますよ。→サイドバーのアフィリエイトAAAです。
by (2006-09-10 22:16) 

INOUE

治療で元気な状態に戻るならばいいですが、単に生きているだけのための
延命治療は、私もお断りしたいですね。
by INOUE (2006-09-10 23:55) 

Baldhead1010

病床では自分の意識がどうなるかわからないので、元気なうちに意思表示しなければなりませんね。
by Baldhead1010 (2006-09-11 13:38) 

lingnam

自分自身で決めた最期をまっとうするためには、家族の理解と協力が
必要ですね。私も人間としてでなく生物体として「生きている」だけの
延命治療は避けたいです。
by lingnam (2006-09-11 16:14) 

作家として、自分の旅立ちを予想して、それをかたちにできるってことは素晴らしいと思いました。
ぼくも、いつか、すこしは腕が磨かれたら、“辞世の詩”を編めるようになりたいです。
by (2006-09-11 20:23) 

マイケル

にこちゃんさん
如何に死ぬか考えなくてすむ我々は幸せな世の中に生きていると思います。
by マイケル (2006-09-11 20:53) 

マイケル

thalerさん
刑法に詳しいですね。
学生時代の講義を思い出しました。
by マイケル (2006-09-11 20:54) 

マイケル

thalerさんがやっているアフィリエイトもやってみようかな。
by マイケル (2006-09-11 20:55) 

マイケル

INOUEさん
私もそう思います。
by マイケル (2006-09-11 20:55) 

マイケル

Baldhead1010さん
その通りだと思います。
by マイケル (2006-09-11 20:58) 

マイケル

lingnam さん
家族によく話をしておくべきでしょうね。
by マイケル (2006-09-11 20:59) 

マイケル

誠大さん
死は旅立ちであってほしいですね。
by マイケル (2006-09-11 21:02) 

akamaru

笑って死にたいですね
by akamaru (2006-09-12 09:40) 

マイケル

あかまるさん
笑うところまで行かないまでも、毅然としていたいですね。
by マイケル (2006-09-12 21:12) 

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