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月山富田城跡 [城]

8月16日の記事である。米子に一泊した翌日。100名城の1つ月山富田城を目指す。島根県は安来市にある城跡だ。

カーナビ頼りに、出掛けたが、道は良く分からない。月山の麓の歴史民族資料館で、道を教えてもらう。車の道も狭いのだが、停める場所も道の途中の少し広くなったところだと言う。そこから、歩いて、30分以上登る。

教えてもらったにもかかわらず、曲がるところを間違えて、太鼓壇と呼ばれるところに出る。

でも、運のよいことに、そこには、嘗てから見たかった山中鹿之助の銅像があった。周りは桜の木は生えているが、山の中のわずかに平坦になった草地で、有名な銅像が立っているのが違和感さえあった。

車で通るのが憚られる場所で、草の中に埋まった切り株に気づかなくて、車体の底をガリッと傷つけてしまった。そういう場所である。

山中鹿之助.jpg

銅像は、両手を合わせて、一心不乱に何かを祈っている姿だ。

山中鹿之助2.jpg

主家である尼子氏の御家再興のために「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」と三日月に祈っているのだろう。

道を引き返し、元の道に戻り、ようやく車を停めるスペースに辿り着いて。車が一台漸く通れる道のわずかに広くなった場所に左に寄せて停める。すでに先客が一台停めてあったが、その車に縦に並べて停めた。

大手門跡.jpg
大手門跡であるが、何もない。立て札だけだ。

そこからは歩きである。大手門跡を抜けて、少し登ったところに、平坦で広い場所がある。

山中御殿.jpg

山中御殿平(さんちゅうごてんなり)である。
御殿が所在したところで、麓の里御殿に対して山中御殿と呼ばれた。上下2段に分かれており、南側上段に城主の館、北側下段に付属の館があったと伝わえられる。発掘調査によって建物の基礎とみられる石列が確認されている。

櫓・井戸跡.jpg
櫓や井戸の跡がある。


ここで、月山富田城の歴史を見よう。

平安時代の保元・平治頃、平景清が富田荘に来た時、八幡社を移して、築城したのが初めである。
鎌倉時代、承久3年(1221年)の承久の乱の功により、佐々木義清(京極氏)が出雲・隠岐2国の守護となり、月山富田城に入る。

1343年、佐々木高氏が守護となり、吉田厳覚を守護代とする。しかし、吉田厳覚が、山名時氏と戦って破れ、当城は山名氏領となる。1364年 山名時氏、出雲国守護となる。1391年山名満幸が明徳の乱で敗れ、再び京極氏が守護となる。

室町時代になり、1392年(明徳3年)京極高詮は、甥の尼子持久を守護代とする。1484年(文明16年) 守護代尼子経久所領横領により追放され、塩谷掃部介が守護代となる。1486年(文明18年) 尼子経久、不意をついて当城を奪回、その後、勢力を拡大し、出雲の実質的守護権力となる。そして、城域を拡大・整備する。
1537年(天文6年) 尼子経久は、孫晴久に家督を譲り、1541年(天文10年)没す。
1543年(天文12年) 大内・毛利連合軍に攻められるが、新宮党尼子国久らの奮戦により撃退。1552年(天文21年) 尼子晴久、足利義輝及び朝廷より山陰山陽八ヶ国守護、従五位下修理大夫に任命される。

1560年(永禄3年) 尼子晴久急死し、義久が家督を継ぐ。1565年(永禄8年) 毛利氏の包囲を受け、篭城。1566年(永禄9年) 兵糧が尽き、開城、義久は捕らえられ、安芸国へ送致される。城代として毛利家臣、福原貞俊、口羽通良が居城。

1567年(永禄10年)城代として天野隆重が居城。1569年(永禄12年) 尼子氏旧臣山中幸盛ら尼子再興軍を催して当城を攻めるも、落ちず。1570年(元亀元年) 毛利勢本隊の来援により、尼子再興軍は敗退する。

1600年(慶長5年)以降、堀尾氏が城主となるが、1611年(慶長16年)、堀尾忠晴が松江城に移り廃城となった。



山中御殿平から山頂部へ急峻な道が続く。七曲りという。現在は石畳で舗装されているが、前日に降った雨のため、よく滑る。2~3度転んでしまった。

山道.jpg
七曲り

途中に堀尾河内守・掃部父子を供養する親子観音、山吹井戸がある。

親子観音.jpg
親子観音

30分程登って、やっと平坦なところに辿り着く。

三の丸.jpg
三の丸の石垣

二の丸.jpg
二の丸

休憩用の小屋が建てられている。ここが、終点かと思いきや、本丸が向こうに見える。一旦坂を下って、もう一度登らなければならないのが苦痛だ。暑さとまとわりつく蚊の翅の音でうんざりだ。

本丸跡.jpg
本丸

やっと辿り着いた。今度こそ、本当の終点である。奥の方に神社があるが、そこまで行く気力もない。

本丸からの眺め.jpg
本丸からの眺望

下りも、濡れた石畳に足を取られて、転んだりと大変だった。

麓の歴史民俗資料館で日本100名城のスタンプをゲットして、一安心だ。

スタンプラリーとかの企画がなければ、こんな山城の跡までは決して来なかったろう。貴重な体験をさせてもらっていることに感謝したい。

(続く)


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Silvermac

確か「我に七難ハ苦を与え給え」,でしたね。
by Silvermac (2011-09-21 08:41) 

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